KOJIMA PRODUCTIONSの世界を具現化する、様々なクリエイターたち。
第8回は、アニメーションチームからリードアニメーターの河田さんにインタビュー。PART1では、実際の現場でのマネジメントや普段の仕事の内容などの話を中心に、語っていただきました。
【プロフィール】
名前:河田昌章
ポジション:リード アニメーター
KOJIMA PRODUCTIONS創立当初より在籍。子供のために絵を描き始めると止まらない2児のパパ 。
最近はキャンプに興味を持つが、形から入る主義のため、まずはキャンプギア沼にはまる。
※リード:各チームのリーダーポジションの名称
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Q. アニメーターとは、具体的にどんな仕事をするポジションでしょうか?
河田:ゲーム内のアニメーションを作る仕事になります。ただアニメーションといっても複数ありますが、自分の場合はゲームモーションをメインでやってきました。 ゲームでは "プレイヤーが操作をする" という特性がありますので、より細かな作りが必要になります。
KOJIMA PRODUCTIONS(以下、コジマプロダクション)の場合はモーションキャプチャーを利用して作っていくので、人型のアニメーションに関しては、そのキャプチャーデータを加工していくことになります。昔はキャプチャー無しで、アニメーションを全部手付け(手作業)でやっていたこともありましたね。時間軸に対してポーズをつけていくので、キーを細かく打てば打つほど、細かい動きになります。
――1つの動作をとっても、とてつもない時間がかけられていたんですね
アニメーターはそこが好きで、醍醐味に感じる人も多いですよ。今でもモーションキャプチャーができないキャラクター、例えばクリーチャーとか4本足の生き物・動物をやりたいっていう人は多いですね。 動物でいえば、馬をモーションキャプチャーしてしまう会社もありましたよ。
――動物をそのまま!?
びっくりですよね。 自分も犬のモーションのデータを扱った経験ありますが、動物ってやっぱり難しくて(笑)
他のスタッフから聞いた話なのですが、基本的なポーズはキャプチャーできるんですけど、例えば「襲いかかる犬」を撮りたくても、犬を怒らせるわけにはいかないみたいで。そんな時は、じゃれているモーションを撮ってもらい、それを怒って吠えている風に調整していたようです。
Q. 河田さんの、普段の仕事内容を教えてください
河田:コジマプロダクションには創立当時から在籍しており、リードアニメーターを担当しています。
具体的な業務内容は、アニメーション素材の作成管理、チームメンバーへの作業割り振り・各種進行管理から外部スタッフとのやりとりまで幅広く行っています。 チーム内では作品のキャラクターごとに担当者が分かれていますので、基本的な部分はその担当者におまかせしています。大まかな仕様などを把握する上で、関係するミーティングなどは、基本的に全て参加しています。
――リードとして、普段どんなやり取りが行われていますか?
アーティストチームには、キャラクター、背景、 エフェクト、ライティングなどの担当チームがあるのですが、自分は全てのチームとやり取りをしています。ゲームの動きに関係するという部分も含めると、プログラマーチームとの連携も必要になりますね。
具体的な例では…ゲーム中のジャンプモーションを設定したい場合、どうすれば自然なモーションになるのか、まず各チームに相談をします。ジャンプのアニメーションを、ゲームの地形に合わせて全部用意することは難しいので、各チームで「この高さから落ちたら、ここから先はプログラム制御しましょう」、「地面についたら、アニメーションにまた戻しましょう」と、各自が担当プログラマーとすり合わせて、データを作っていきます。どんな地形でもキャラクターの動作がスムーズにみえるようになるまで、いろんな工程とたくさんの人が関わっています。
Q. どのような経緯でコジマプロダクションに参加されましたか?
河田:もともと全然違う業界で働いていました。アニメーションの仕事を始めたのは29歳なので、世間的には遅咲きかもしれませんね。
25歳くらいの時、ちょうど流行りだった3DCG分野に興味が出て、仕事を辞めて専門学校に改めて入り直しました。学校では二十歳そこそこの生徒さんが多かったのですけど、かたや仕事辞めて学校に行って…自分の意気込みはまわりと全然違うようでした。元々リアル系の3DCGをやりたい気持ちがありました。その時はキャプチャーを使うという思いはなかったのですが、「リアルな動きを手付けでやりたい」という気持ちは、学校に入学したことでより強くなりました。
ある日、小島監督作品のプロモーション映像で、主人公が椅子取りゲームをするトレーラーを観たんです。ゲーム本編とは関係のない内容にかかわらず、これだけ本気になれるなんて凄いチームだな…と思ったのを覚えています。
ちょうど業務委託で採用枠がありましたのですぐに応募しました。当時の小島監督のチームで社員登用いただいた後、小島監督が独立したタイミングで一緒にコジマプロダクションに入社しました。
――独立したてのコジプロはどんな雰囲気でした?
コジマプロダクションは恵比寿の仮オフィスから始まったのですが、不便ながらもすごく楽しかったですね。少人数で、少し学生みたいなノリや雰囲気もありました(笑)
カットシーンを検討する時は、段ボールのハリボテを作って実写で撮ってみて「こういう風にしよう」とか、監督の指示のもと実際に動いたり、立ち位置を決めたり…どんなゲームになるかも分からないなかでしたけど、とにかくワクワクしていた事を覚えています。
Q. マネジメントを任されるようになった経緯を聞かせてください
河田:前職、小島監督のチームで前任者が辞めるということになり、どうですか?と、お話をいただいたのがきっかけです。
そのままコジマプロダクションでも、引き続きリードアニメーターというポジションでした。
――では、そのお話をいただいた時の心境はどうでしたか?
会社によって考え方がそれぞれあると思うんですけど、自分は「モーションが1番うまい人がリードになる」という考えでしたし、自分自身1番上手くなりたいとは常々思っていたので、キャリアの延長線上にリードがあるんだったら頑張ってみようという気持ちはありました。
ただ、小島監督のもとでのリードとなるとですね…チームの規模も大きいですし、ちょっと他とは訳が違うぞ!という見えない緊張感みたいなものを感じていました。それに、モーションを追及してスペシャリストの方に進みたかった気持ちがあったので、最初は乗り気じゃなかったですね。ただ…もともと考えていたポジションで、それでもチャレンジする価値はあると思い、いまに至ります。
マネジメントを経験することによって、一歩引いて、客観的にディレクションできるようになったと思っています。それに、パフォーマンス・キャプチャーの現場同行であったり、海外の方とのやり取りであったり、普通のアニメーターポジションではできなかったような、唯一無二の経験ができています。
今となっては、リードやってよかったなと思いますよ。
【動画】河田さんが同行するパーフォーマンス・キャプチャー現場の映像
Q. マネジメントをするにあたり意識していることを教えて下さい
河田:各担当者を決める際には、まずスタッフの要望を聞くようにしています。あとは、「やりたい」と手を上げてくれた人にやらせてあげたい気持ちが基本にありますね。良いものを作る上では、この気持ちが1番必要なことだと考えています。
例えば、2024年2月のState of Playで公開された『DEATH STRANDING 2 : ON THE BEACH』のトレーラーに登場した、猫のアニメーション。今回この難題を、新人の方が「やりたい」と手を上げてくれたので担当をしてもらいました。
先ほども話したように、動物のモーションはなかなか難しいんです。直接キャプチャーもできないし、手打ちをするにも、かなり観察しなくちゃいけません。「やりたい」気持ちで懸命に応えてくれて、トレーラーを観ていただければわかると思いますが、いい結果を出せたと思いますよ!
【画像】『DEATH STRANDING 2 : ON THE BEACH』のトレーラーに登場した猫
Q. マネジメントポジションにおける共通点はありますか?
河田:リード・マネジメントポジションは、みんなそれぞれの担当チームで突き詰めている部分があって、何かの答えを出すために、頻繁に協力し合います。「これはどの部署がやる?」「こっちが介入した方がいいかな」と、自然と協力する体制にありますね。
その場でフレキシブルにできるのは良いところですし、クオリティを出すために、皆ものづくりに貪欲な姿勢を持っているという共通点があります。
何よりコジマプロダクションらしい部分ですね。
PART2へ続く
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