KOJIMA PRODUCTIONSの世界を具現化する、様々なクリエイターたち。
第6回は、海外からコジプロに入社した社員をテーマに、アーティストチームから2名のインタビュー。
海外出身、日本で働くのはコジプロが初めてというお二人。入社のきっかけやチームの雰囲気に加え、今回は海外からの採用における “会社のサポート” にも注目しました。
[プロフィール]
名前:リボル 小林 透真(以下 トーマス)
ポジション:背景アーティスト
パリからコジプロへ。休日はランダムに地下鉄に乗り、気の向くままに降車する “探検”が趣味。最近は浅草で発見した、東京に残る昭和の街並みに「昭和だ―!!」と思わず感動。
名前:コーエン ガブリエーレ(以下 コーエン)
ポジション:アニメーター
イタリアからコジプロへ。大好きなものは映画と大自然。 旅行中、マップに “滝” があると直行してしまうほど、自然(滝)を愛する二児のパパ。
●インタビューの様子を動画公開中!
YouTube:https://youtu.be/s3Mp92_ZXPQ
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Q. コジマプロダクションへ入社したきっかけは?
トーマス:子供の頃から日本のゲームで遊んでいたので、ずっと日本で働きたいという想いがあったんです。小島監督作品のファンならわかってくれると思うんですけど、一度はその仲間に加わりたいって思いませんか?ゲーム業界を目指すきっかけを貰ったし、日本のゲームに出会わせてくれた。ただただ、ずっと目指してきたんです。
実際に働いていて改めて思うんですけど、その辺で働いている人たちが皆、凄い経験値を持ってきた人ばっかりだから、めちゃくちゃ勉強になりますね。監督や新川さんなど憧れの人たちと働いている事実に、最初は全然実感できなかったですね。多分、慣れるのに数ヵ月かかりましたよ(笑)
コーエン:妻が日本人というのもあって、いつか日本に住もうという話が元々あったんです。で、日本に行ったらどこで働けば良いだろうと思っていた時、その頃 一番気になっていたのがコジプロでした。
最終的な決め手は、映画好きな監督に惹かれたことですね。仕事としてはゲーム業界の方が好きなんだけど、とにかく映画が好きでして。入ってみると、映画好きな人も多いし。社内で映画観賞会もあるし。最高ですね。
トーマス:観賞会で観る作品は監督のチョイスだし、ずっと観ようと思って観られなかった作品が多いから、すごく助かってます。
コーエン:ゲーム自体にも映画の影響を受けているところがあるから 「このシーンはあの映画の影響かな?」っていう考察ができて面白いですよね。 なにより、仕事のアウトプットにも役立ちます。
Q.海外からの入社に際し、コジマプロダクションからサポートはありましたか?
トーマス:引っ越し代・ホテル代・飛行機代など直接的な費用面の負担をしてくれました。1ヶ月間もホテルを予約してくれて、おかげで安心して家を探すことができましたし、何より電話も貸してくれました。日本に来てすぐに電話が使えるなんて、とても便利で本当に助かりました。
コーエン:銀行口座開設・携帯、家、とかとか・・・僕には日本人の妻がいたからよかったけど、誰かヘルプしてくれる人がいないと海外からの移住って大変ですよね。その点、会社がサポートしてくれるのは安心だね。
Q.普段はどんな仕事をしていますか?
トーマス:ゲームに出てくる自然の風景や、街並みを作っています。ストーリーが決まって、設定とか世界観が決まっていったら、リサーチを重ねて絵を作っていきます。ただ背景を作れば良いだけじゃなく、“ゲームプレイ” が出来るように。ゲームデザイン面でも考えられた背景を作るっていうのが、背景アーティストの仕事ですね。
大きく分けて人工物と自然物。
自然物の場合、参考になる地形の場所に直接取材に行ったり。デスストの場合、ゲーム中に出てくる 岩 も、現地で直接スキャンしてそのまま使用したりしています。リアルさを心がけた作品ですので、リアルからそのまま使用することもあります。
人工物の場合は、あたかも実在する物であるかのような説得力が必要になります。1%でもプロポーションがおかしいと、プレイヤーはそこが気になって物語が入ってこなくなってしまいます。プレイヤーの後ろに行って「そこ見ないで!周り見て!」って言えないので、とくに気を使っていますね。
コーエン:チームの中で、主にクリーチャーのアニメーションを担当しています。
背景チームと同じく、色々とプレイヤー目線で考えて、クリーチャーをどう動かせばいいのか考えています。例えば “攻撃” や “ダメージ” など、動作だけでプレイヤーに伝わるようなアニメーション作りですね。
元々現実には存在しないものですので、動作一つひとつに想像力が伴います。主には様々な動物の動きを参考に組み合わせることが多いですね。デスストの一部のクリーチャーはイルカ・クジラの動きから、触手の方はタコやイカを参考に。一緒に動いて違和感のないアニメーションっていうのが難しいですね。ただ、この考えている時間が面白いんです。
―――お二人は直接一緒に仕事をする機会はありますか?
トーマス:背景とアニメーターチームが一緒に…というのはあまり無いですね。
コーエン:そうですね。どちらかといえばGD(ゲームデザイン)チームと一緒に働く機会が多いですね。 プレイヤーが迷わないように、こちらの意図がしっかり伝わるようなデザインやアニメーション作りとしては、GDとの細かな調整が欠かせません。
トーマス:時々「この岩がアニメーションの邪魔になってるなー」みたいな事象が起こります。こういう時は背景チームだけじゃなく、アニメーターや色々なチームと一緒に仕事することもありますね。
―――アーティストチームだと、監督より新川さんとのやり取りが多い?
トーマス:そうですね。アーティストチームなので、新川さんからアドバイスもらうことが多いですね。例えば、作った背景を新川さんに連絡して 「もうちょっとこんな感じ」 とか 「ここ調整した方が良い」 とか、フィードバックをよくもらいます。
シナリオに直接関わる、世界観などの設定をすり合わせる時は、監督とやり取りする機会もありますね。
コーエン:新川さんに持って行った確認資料のフィードバックとして、絵や図で直接指示をくれることがあるんですけど、私の中では「自分のためだけに新川さんが絵を描いてくれた!」 みたいな解釈で、実はすごく嬉しいんです。
トーマス:そうそう、すごくわかります! 自分のノートにパパーッと描いてくれたものでも 「おぉ、これ一生捨てられないわ」 ってなりますよね。サインを持ってるファンの人は多いでしょうけど、直接の指示なんてなかなかね。
Q.日々一緒に働いているチームの雰囲気はどんな感じですか?
トーマス:チームの雰囲気は凄くカジュアル。仕事の相談もしやすいし、昼はみんなでカフェテリア (新スタジオエリア 紹介ページ) でランチしたり…あとは仕事終わりも飲みに行ったり食事に行ったり。
コーエン:こっちのチームもリラックスした雰囲気だね。楽しく仕事できてます!最近は若い人も入ってくれたので、久しぶりにチームで歓迎会とかしてみたいね。
トーマス:アーティストチーム全体で見ても、気軽に相談できる雰囲気。問題があったらすぐに相談できる環境だから、フィードバックのやりとりも多いし早いです。
コーエン: 確かにそうだね。日本の会社ってすごく固い雰囲気のイメージが強いから、日本に来る前はそこが怖くて…。
でもなんの心配もいりませんでしたね(笑)
Q.コジプロの好きなところは?
トーマス: 例えばデビュー作の『DEATH STRANDING』は、常識にとらわれないゲーム性で 「ゲームって何なのか」 を見つめ直すような作品に仕上がったと思います。これは、常に新しいものにトライし、他の人が作ったことのないもの・ことにチャレンジし続ける “姿勢” から出来たものではないでしょうか。 コジプロの好きなところは、そんな 「あっ、今度はこういうことをやるんだ」 という驚きを日々もらえるところですかね。
コーエン:コジプロは作りながら変えていく、変化していくことが多くとても大変です。でも、それこそがインディーズスタジオであるところの良さだと思うし、好きなところでもあります。
あと、周りに凄い人が多い という話がありましたけど、皆さんが過去携わった作品の話が不意に飛び交うこともあって面白いです!
トーマス: あるあるですよね。中学時代にハマっていたゲームの話が突然始まった時は、流石に驚きました。めっちゃ面白いし貴重な体験ですよね。
Q.今後のプランなどあればお願いします
トーマス: そうですね、せっかく常にチャレンジがある環境ですし、次世代のゲームでも、ストーリー性のある背景づくりを続けていきたいですね。テクノロジーが常に進化している世界だから、同じことをやり続けるんじゃなく、今ホットなテクノロジーを常に研究し、それを自らがゲーム業界に落とし込んでいきたいです。
コーエン:テクノロジーの進化、最近は特に早いですもんね…
いつも気にしているのは、遊んでくれたプレイヤーが、このアニメーションをどう受け取ってくれたのか。会社がくれるチャレンジはもちろん、自身の研究も続けていきたいです。
怖くて、気持ち悪くて、なにより面白い。そんなクリーチャーをもっと作っていきたいですね。
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