KOJIMA PRODUCTIONSの世界を具現化する、様々なクリエイターたち。
第3回はゲームデザインチームから、「ゲームデザイナー」「レベルデザイナー」の2名に話を伺いました。
インタビュアーが入り込む隙間を見つけられないほど、ひたすら話し続ける2人。コンセプトを創り "伝える" 、ゲーム制作への想いに注目です。
[プロフィール]
名前:阪井 健之(以下 阪井)
ポジション:ゲームデザイナー
カバー写真右。中途入社。日々全力で生き、全力で疲れる。昔、勉強が嫌いだったが、ゲーム作りの参考としての勉強だと苦ではないことを発見。最近は、子どもにそれをどう伝えれば良いのか悩んでいる。
名前:大矢 翔子(以下 大矢)
ポジション:レベルデザイナー
カバー写真左。中途入社。日々さまざまなエンタメに触れるが、そのほとんどは“ゲーム作り”を軸にしている。1つの経験から、あらゆる要素を経験値とし、今日も自身の知識を磨く。チャットツールのアイコンは、塗装まで完璧に仕上げたプラモデル。
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Q.普段はどんな仕事をしていますか?
阪井: "主に"これをやってる人、"主に"あれをやってる人ってのは確かにあるんですけど、僕たちのチームではゲームデザイナーとレベルデザイナーの区切りがあるくらいですね。コジプロはそこまで「あなたはコレね!」とか明確な割り方はないです。
そのなかで興味がある分野だとか、「これこうしたら面白いかも!」と言い出した人がその"主"の部分をやってるような感じ。とにかく色々担当しています。
大矢: 自分はレベルデザインを担当しています。
"主に"地形や建物、いわゆるステージを作る人ですね。敵やアイテムの配置や向きの構成、誘導。その場所でプレイヤーに何を感じて、何を選択させたいのかを考えています。
人間はどこに視線を向けやすいのか。基礎的なところでは画面三分割法とかあると思いますけど、そういったゲームとビジュアルの知識、さらには人間の心理的な知識も使っています。
阪井: ゲームデザインに関しても、主な役割を少し説明させてください!
1つめは、ゲームネタの起点作り。
こういうのはどうだろう、やりましょうよと旗を上げて、アーティストチームやプログラマーチーム等、他チームを巻き込んで盛り上げていきます。「おもしろそう!」とか「もっとこうしたらどう??」等、議論の流れを作れると一番嬉しいですね。
2つめは、それらをどう伝えるか。
一番大事で一番難しくて一番楽しいところだと思います。
どれだけ頭の中に面白そうなネタを思いついても、この考えをこのまま映し出して「どう?おもしろそうでしょ!?」とは現実できなくて…じゃあこれをどうやって伝える?絵を描く?熱量を入れて喋る?綺麗にまとめる?簡単なムービーを作る?いろんな手法があるんですけど、実はここが、ゲームデザイナーがゲームデザイナーである部分だと思うんです。
起点作りからはじまって、みんなからの意見も届き、元々のイメージした通り、もしくはそれ以上に組み上げ、整理することがゲームデザイナーの仕事だと思っていますし、普段もそうしています。
Q.では、日々一緒に働いているチームの雰囲気はどんな感じですか?
大矢: むかし働いていた会社と比較して、コジプロは絶妙な、いい感じの距離感があるんですよね。すごくいい意味でビジネスライクな関係性のチームです。
「あの人嫌いだから仕事に影響しちゃう」ってのは無いし、逆に「好きだから贔屓しちゃう」ってのもないし。なんでもない会話だってよくしますけど、「仕事仲間だ」って意識がみんなちゃんとあるので、お互い対等。しっかりリスペクトし合えている関係です。
阪井:ゲーム作りに集中するにはちょうど良い距離感だよね。
以前はボードゲーム会やったり、サバゲやったり・・・班の枠を超えたイベントも今より多かったらしいけど、コロナ禍の影響やテレワークの人も居るので、そういうイベントは減っちゃいましたね。
大矢:イベントといえば、社内向けの映画観賞会とかも、映画・作品の世界観を学ぶ場としてだから、これもビジネスライクなイベントですね。もちろん、どんなイベントにも 「イベントで社員の仲を良くしよう」 という目的もあります。
阪井:チームとしては、業務上のチャットツールに雑談部屋みたいなのも作ってあるし、日々なんでもない雑談も多いので、コミュニケーションが少ないわけではないです。そこは安心してください!
全部ふまえて、ゲーム開発にはすごく良い雰囲気というのは間違いないよってことです!
Q. コジマプロダクションへ入社したきっかけは?
阪井: 元々はお手伝いとして出向社員のような感じだったのですが、色々な縁があってそのまま入社しました。
ただ、やっぱり決め手となったものもあります。お手伝いしていた時に感じた、チームの雰囲気の良さですね。新しいものを作ってやるぞって意識の強さ。一緒にこれからも手伝いたいなっていう想いもあり、コジプロに正式に合流しました。
大矢: 自分は、いくつか要件をもって就職に挑んでいました。
1つ目は「"世界"で売れるゲーム」を作りたい。
日本だけのゲームって、いわゆる閉じているゲームだと思うんです。日本市場向けの絵だとか、システムだとか。そういうのじゃなくて、“世界で売れるもの” を作りたかった。いろんな国にミートするものを。
あと、純粋に大規模開発を経験したことがなかったので、経験してみたかったんですよね。
2つ目は「コンセプトがハッキリしているゲーム」に参加したい。
曖昧に ぼやっ としたゲームってあるんですよ。「こういった気持ちを与えたい」、「こんなドラマを見せたい」 コンセプトがしっかりしていると、下も迷いなく働けますしね。
そんな条件を色々考えて、コジプロに決めました。
望んでいたものとは相違ないものがここにはあるし、外で感じていたものと、中で感じたものの差があまりないです。
Q. 応募時にどんなポートフォリオを用意しましたか?
※ポートフォリオ提出は、ポジションにより異なります
大矢: 自分はレベルデザインを元々やっていたので、絵的に見せる必要がありました。関わってきたタイトルに対する自分の役割をまとめた感じです。基本的に職務経歴書にも書きつつ、それを絵的にも見せられるものとして、ポートフォリオを用意しました。
ただ、自分は関わったタイトルで実際リリースされたものが少ないので、UE4(Unreal Engine 4)を使って個人的に作成したレベルデザインも、作品としてまとめました。あとは3DCGと、デッサンも少し。
大きくは今まで仕事でやったことと、それに付随して個人的にやっていることを絵で見せる必要がある。話だけじゃなくて、証拠としてまとめることが大事なように思います。
阪井: 何より見せることが大事ですよね。例えば、実際発売されたゲームに「オレだったらもっと面白く出来る!」と言ってくださる人。その心意気は素晴らしいと思いますけど、じゃあそれを一歩踏み出して、実際に「やってみた」「検証してみた」ものを見せ、説明できてやっと伝わります。
大矢さんは、自分が関わったものにプラスで補足情報を出してくれた。情報量があるから、「なるほど、コレができるのであれば、アレが頼めるかもしれない」 「こういう関心があるのなら、あのタイトルを手伝えるかもしれない」…のような、面接する側もすごく気持ちよく相手を理解することができるんだと思いますよ。
――冒頭にあった「伝える仕事である」ことの本質的な部分にも、繋がっていそうですね
阪井: そうですね、ゲームデザイナーの仕事は、提出物や面接の時点で既に始まっていますね。
ゲームデザイナーを目指している人は、とりあえず自分の考え・経験はまとめておきましょう!
Q.ゲームデザイナーに向いている人の特徴などありますか?もしくは一緒に働いている人の特徴など
大矢: 強き心を持っている人…でしょうか。
よく上司が言う言葉だと、「アイデアを否定された時も、めげずに自分で改定案を出せる人。起点を利かせつつも、自分のアイデアを曲げない人。」
阪井: 付け加えるなら・・・もっとこうしよう!改良しよう!より良くしよう!と思える人かな。キーワードは”びっくり” で。
ユーザーは何も、心が動かないものをやりたいわけなくて、すごい!びっくり!と、どこかに刺激を求めているものなんですよ。だからもう、面接官までもびっくりさせてやろう!という思いで、チャレンジしてもらいたいですね。
Q. コジプロの好きなところは?
阪井: 難しい質問ですね・・・楽しいです、とにかく楽しい!
今発売されているどんなゲーム(僕の中で)よりも、コジプロでのゲーム作りがすごく楽しい。すごく極端な話、「コジプロでゲームを作れるゲーム」が発売されたら絶対買う。飛びつく。
どのユーザーをびっくりさせるか、ゲーム業界的にどんな革新的なものを用意できるのか!を、コジプロで考えるのは楽しいです。だからコジプロが好きというか・・・このコジプロという物作りゲームが好きですね。
大矢: 自分はチームの雰囲気が、何よりちょうど良いです。あとは…歴戦の勇者たちが多いから、日々テンションが上がります。
学生の頃に遊んでいたゲームに携わっていた人たちが “居る” っていう不思議というか。今も現役で、しかも一緒に働けるって、やっぱりテンションあがりますよね。
阪井: あー・・・“人”でいうと、第1回の社員インタビューに出ていた、キャラ班(キャラクターアーティスト)の千葉さんは凄いですよね。
ある日見た千葉さんの日報に「鳥の胸板の厚さをなめてはいけない」という名言を見つけて。そのうえでモデリングに対し、「まだ足りていない」とあったり。パッと見ではすごくキレイな鳥のモデリングだったんですけど、それに対する千葉さんのフィードバックが上の通りだからさ、コジプロって、探求者の集まりだよね。良い意味で変態とも言えるレベルで。
その人たちがいるから、より解像度の高い内容の作品ができあがるんだろうなって思いますし、それも見越して設計をしないといけないってのもあるよね。まさにチームじゃないとできない。
こうして考えると、コジプロの好きなところって、働いている人も理由として大きいかも。
大事なのは縁。会社は箱。中にいる人が大事だし、好きだなあ。
Q. 今後のプランなどあればお願いします
阪井: 僕はその…非常に不器用なので、普段から全力で生きるタイプなんです。いつも1日1日疲れて寝る感じ。
最近のゲームって、綺麗な画面!早い処理速度!と、昔に比べてすごく実現できるものが増えていき、その中でさらにすごい絵作りとかストーリーを日々考察しているこのゲーム業界。
でも、本当の意味での革新的なシステムや、新しい体験というのは、実はもう難しくなってるんじゃないかって思っています。
そんな中で、誰も見たことのない新しいアイデアや境地を、ひとりの”開発者”としてみんなで体験し、作り上げていくという経験は今しかできない。
これからもそこに参加できたらと思うので、今後もこの世界で、全力で生きていきたいなって思っています。
大矢: 自分はコジプロを構成するチームの一人として、常に最高品質の歯車でありたいと思っています。
歯車と言うと少し聞こえは悪いかもしれませんが、回転力が凄かったり、うまく噛み合わさっていたり。もちろんエゴも大事ですが、1つの大きなものを作ろうとしている以上、その作品に対する共感や想いを持って挑みたいと考えています。
阪井: 最後に!
どんなゲーム開発現場でも同じだと思うんですけど 「ゲーム作りゲーム」 は基本、期間限定で遊べなくなるので、コジプロで一緒にマルチプレイしたい方はぜひ!!
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