DEATH STRANDING』は、才能あふれるアーティストたちが生み出す素晴らしい楽曲に彩られていることも、魅力のひとつです。小島監督の依頼にこたえ、グラスゴー出身のエレクトロポップ・トリオ「チャーチズ」が生み出したのは、『DEATH STRANDING』と題された楽曲でした。タイトルが表すように、この楽曲はゲームの世界に深く寄り添い、ひときわ美しい光を放っています。

このチューンはストリーミング配信され、いまも世界中で広く聴かれています。さらに、コジマプロダクションの設立5周年を記念して制作された動画では、ファンの皆様に感謝の気持ちを伝えるシーンの楽曲としても使用されました。

そんな才能豊かなポップ・トリオが小島監督の作品をいかに表現したか、インタビューを通じて詳しく紹介していきます。

 

 

Q&A:

東京のスタジオで小島監督に会った時のお気持ちを聞かせてください。

初めて小島監督にお会いできた日は、私たちにとって素晴らしい思い出になりました。スタジオのみなさんからも 非常に親切にしていただいたので、とても居心地がよかったです。もともと小島監督の作品の大ファンだったので、オフィスや貴重なコレクションを拝見できたのはとても嬉しかったですね。どれも素晴らしいアート作品ばかりで、一日中見ていたかったくらいです。  実際に制作中の『DEATH STRANDING』を拝見できたことは、私にとってその日一番の ハイライトでした。小島監督はゲームをプレイ しながら1時間半ほど話してくださり、このゲームの素晴らしさや独自性を改めて実感しました。トレーラーやスクリーンショットは以前に見たことがあったのですが、コンセプトやクオリティは今まで見たことのない唯一無二のものでしたね。 

 

ご自身の楽曲がゲームのエンディング曲として登場した時は、どんな気持ちでしたか?

本当に光栄に思いました。この楽曲は小島監督のゲームプレイをされている様子を見てから書き下ろしたので、楽曲の中にゲームの雰囲気や感情を反映させることを最も重要視しました。簡単ではなかったですが、小島監督が初めて楽曲を耳にしたときに涙を流されたと聞き、ふさわしい楽曲を作り上げられたことを実感し、嬉しく思いました。

 

楽曲とゲームの関連性はいかがでしょう?

この楽曲はとても印象的な構成で、歌詞もゲームの世界にゆったりと引き込まれるような内容になっています。ゲームの構想やキャラクターに関係する直接的な表現はありませんが、深い意味で『DEATH STRANDING』の世界を表しています。ゲームに自然に溶け込む楽曲でありながらも、独立した一つの楽曲として感じられるように仕上げました。

 

楽曲『DEATH STRANDING』でお気に入りの歌詞はありますか?

What will become of us all at the end of love(愛の果て 僕たちはどこに辿り着くのだろう?)」ですね。この歌詞は、小島監督がゲームのストーリーを通じて最も伝えたかったことだと思うからです。現代世界で人々はしっかりと結びついているように見えますが、そこにお互いに対する愛情や感情が欠乏していることをこのゲームの世界は教えてくれているのです。

 

実際にゲームをプレイして、どの場面が好きでしたか?

BTに遭遇した時は興奮しましたね。あたりを見渡して近くに彼らを発見した瞬間は、とても緊張しました。捕まってタールに引きずり込まれるシーンはこの世のものとは思えないほどクールでしたし、BTの臍帯を切断する能力についても非常に興味深いものでした。荒廃的でありながらも美しい景観とは対照的に、BTは不気味でおぞましい敵でしたね。

 

DEATH STRANDING』の中でお気に入りのキャラクターは誰ですか?

ハートマンが個人的には一番面白いキャラクターだと思っています。一定の間隔で心拍が停止し、その後AEDにより息を吹き返すというアイデアはとても斬新でした。そんな彼と会うために、雪山の頂上を目指して登っていくシーンが大好きです。
また、ニコラス・ウィンディング・レフン監督がゲームに出られている点も気に入りました。

 

コジマプロダクション設立5周年を記念して公開された動画* をご覧になりましたか?これはコミュニティの皆様に感謝の気持ちを伝える内容でしたが、ご覧になってどう感じましたか?

*コジマプロダクション設立5周年動画:https://youtu.be/UypKp5Mp9_s

動画内で私たちの楽曲が使われていて本当に感動しました。小島監督が作り上げたゲームとその世界観が多くの人々を虜にしたのは、当然のことだと思います。小島監督に『DEATH STRANDING』のプレイを見せてもらった時から、このゲームは最初から特別な存在だったことがわかりました。

 

ゲーム業界での将来的展望を教えてください。

今のところまだ予定は決まっていませんが、この世界の様々なアーティストたちと、大きなイマジネーションとビジョンを持って仕事ができることを楽しみにしています。

 

最新アルバム『Screen Violence』はどのようなきっかけで制作されましたか?

実はライティングやレコーディングをスタートする前にアルバム名を決めたのは、これが初めてでした。これは2011年初頭にバンド名の候補に挙がっていた名前で、最終的には「CHVRCHES (チャーチズ)」を選んだのですが、いつもScreen Violence(スクリーン上の暴力)をテーマにした楽曲を作りたいと思っていたのです。たまたま2020年の初めにこれがアルバム名にぴったりだとローレンが気づき、新しい楽曲へ向けたクリエイティブな出発点にしようと提案したのです。音楽的にも歌詞的にも幼少期に見たカルト・ムービーを思い出して懐かしくなるような内容になっていて、アルバム全体に一貫性のようなものを持たせることができました。

アルバムにはロバート・スミスが参加されていますね。How Not To Drownの収録はいかがでしたか?

ロバート・スミスは私たちにとって最高のミュージシャンです。ソングライターやプロデューサーとして活動する上でザ・キュアーからは大きな影響を受けていたので、ロバートと一緒に仕事ができるとわかった時は、夢のような気持ちになりました。すべての作業はメール上で行いました。まず私たちからコンタクトを取り、制作中の楽曲をたくさん送ってコラボレーションできないか確認を取ったところ、彼からHow Not To Drownという楽曲に魅了されたので協力したいと返信が来たのです。彼からデモが送られてきた時は感動して鳥肌が立ちましたね。彼の声、そして伝説のフェンダー・ベースVI で私たちの楽曲を演奏してくれたのですから。こんな幸運が訪れるなんて誰も予期していませんでした。

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